水無瀬川

水無瀬川は万葉集以来しばしば歌に詠まれた名所、すなわち歌枕である

水無瀬川

釈迦岳南方に源流を発し、大沢-川久保-尺代-東大寺-広瀬を経て淀川に合流する。

主な支流はポンポン山南方を源流とする川久保川(東水無頼川)と尺代川(長谷川)である。

全長9.4キロ、流域面積は17.4平方キロメートル、東大寺-川久保間は特にⅤ字型の峡谷地形をつくっている。

かつては、源流-川久保間を下条川、川久保-尺代間を大沢渓川、尺代-東大寺間を黒谷川、東大寺-広瀬間を指手川、広頼に入りて水無瀬川とよんでいたようである。

水無瀬橋

水無瀬橋(西国街道)

水無瀬橋より上流を望む

水無瀬橋より上流を望む

古来歌枕として知られ、万葉集以来詠歌数多く、「枕草子」にも「川はみな瀬川」とみえる。

著名な歌人の歌をいくつかあげると、

「 言急かは 中ゆ淀まし 水無瀬川 絶えてそ事を ありこすなゆめ 」

柿本人麿 「万葉集」

「 ことに出てゝ 言はぬ計そ 水無瀬川 下に通ひて 恋しきものを 」

紀 友則 「古今集」

「 水無頼川 をちの通路 みつ満ちて 舟わたりする 五月雨のころ 」

西 行 「山家集」

「 見わたせは 山本霞む 水無瀬川 夕は秋と 何おもひけん 」

後鳥羽院 「増 鏡」

参考:「史跡をたずねて」島本町教育委員会